from 野村尚義

プレゼンテーションの専門家は、何から学び始めたのか?

前回の記事のとおり、カツカレープロジェクトを試みた私。周りが苦手なことに活路を見出し、プレゼンを勉強しようと思いました。つまり、自分が得意だからやろうと思ったわけではありませんでした。

むしろ、苦手意識の方が強かったです。学生時代は、教室でなんて話せないという理由で塾講師のバイトはあきらめました。学園祭でマイクを握る機会があった際、周りから「ボソボソしゃべってて聞き取れなかった」と言われました(笑)

ですので、相当な努力をしました。いま振り返ってみると。やったことは、大きく4つ。

1)関連本を乱読した
2)セミナーの音声を乱聴した
3)スピーチサークルに参加した
4)仕事でプレゼンする機会を自ら増やした

今日は、(1)と(2)だけ、お話しします。

(1)関連本を乱読した

まず、プレゼンに関する本は目につく度に買って、読み耽りました。いまamazonで探したのですが、当時読んだ記憶のある本は少ない。もう絶版なんですかね。たった2冊だけ見つけたのが、

●人を動かす/デール・カーネギー

●考える技術・書く技術/バーバラ・ミント

なんだか、こうして振り返ると、当時からテクニック論は好きでなかった様子。。。

あと、私がプレゼンで行いたかったのは、業務課題をIT技術で解決することでした。だから、クライアントの事業について理解しなければならないと考えて、片っ端から読んだのがグロービスのMBAシリーズ。

●グロービス MBAマネジメントブック

●グロービス MBAマーケティング

…その他もろもろ。

さっぱり意味がわからないものも多数ありましたが、なんだか高尚なことを勉強している気になっていた気がします。自分で書いていて、なんだか青臭くて笑えます。が、そんな自分が今の自分を作ってくれたのだと。

今振り返ると、プレゼンを単なる話し方として見ていなかったのがよかった。“語る対象を知る”という姿勢で勉強できていたのは、今につながっている気がします。

(2)セミナーの音声を乱聴した

やはり、魅力的なプレゼンを耳にしないといけないと思い、セミナーテープを買い集めました。

●経営合理化協会のセミナーテープ

などなど。結構、各方面から買いました。当時は、ダウンロード販売どころか、CD販売すら少なかった時代。カセットに入ったセミナーテープを買って、MDにダビングして聞いていました。なつかしい。

ライブのセミナーよりもテープを選んだのは、何度も聞き返せるから。特に、ここでは話し方の習得が目的。一度きりでは、十分ではないと考えました。

そして、テープを聞きながら、それをマネて口にする。その繰り返し。

いわゆる、英語の勉強でいう“シャドーイング”をしていました。これは、かなり勉強になりました。確実に今の自分を作っていると思います。

(3)スピーチサークルに参加した

本やセミナーテープで勉強したのはインプット。アウトプットがなければ片手落ちです。プレゼンの実践の場を求めていました。そんなとき、読んでいたのが、トム・ピーターズの書籍「ブランド人になれ」

●ブランド人になれ

トム・ピーターズとは、米国を代表する経営コンサルタントで、私は彼の大ファン。そんな彼の書籍に、気になるフレーズが。

私はトーストマスターズの大ファンだ。

教えることが紋切り型のきらいもあるが、学べることは多い。

トーストマスターズは自助努力の素晴らしい組織で、これまでに何十万という人たちが、
このクラブで「自分を売り込む術」をマスターしてきた。

「なんだ、トーストマスターズって?」

パン屋?いえ、スピーチサークルです。

トム・ピーターズほどの人が強く勧めるサークル。がぜん興味がわきます。一方で、それはアメリカの組織であって、日本にはないだろうというあきらめも。でも、一応調べてみました。そうすると、

ありました。渋谷にも。

当時、渋谷勤務だったので、これ幸いと参加依頼のメールを送ってみる。すぐに返事があって、参加することに。行って初めてわかったのは、参加者同士の相互支援のサークルだということ。

先生と生徒がいるわけでなく、お互いに同列という位置づけ。でも、やっぱり、上手い人とそうでない人はいる。

「あぁ、ここには手本になる人も、一緒に励まし合う人も、両方がいるんだ」

それから数年間、かなり本腰入れてトレーニングしました。いま振り返って思うのは「実践の場を求めていった結果、手に入れたのは共に学ぶ仲間だった」ということ。やはり、仲間がいたから、飽きずに・あきらめずにがんばれたというのは大きいですね。

※以前にAll Aboutでトーストマスターズを紹介した記事がありました^^

(4)仕事でプレゼンする機会を自ら増やした

プレゼンの稽古はインプット・アウトプットともに鍛えてきました。しかし、結局のところ本番を越える成長の場はありません。だから、“仕事上でプレゼンをする機会”を求めるわけです。

たとえば会議での司会進行を買って出たり。会社のウェブサイトのリニューアルを自社に提案するプレゼンをしたり。あと、社内ベンチャーのような形で創業支援コンサルをおこなう職場のオジサマがいて、その手伝いを勝手に願い出て、自分がしゃべる場所をつくったり。

正直、手ごたえを感じるプレゼンもあれば、けんもほろろのプレゼンも、たくさん。

それでも、当時の私にとってはプレゼンをする場があることだけで幸せでした。なにしろ、自らプレゼンの場を求めていくまでは、複数の前で話すことは稀でしたから。

当時思ったことは、思うより簡単にプレゼンの場は得られるのだということ。

楽しみながらやること・楽しめるものを選ぶこと

振り返って思うのは、「昔の自分、がんばっているなぁ」の一言。それと同時に、結構楽しみながらプレゼンの場を持っていたなと。

人間、つらいことは続きません。つまらないことも、なかなか続けられない。楽しいからこそ、試行錯誤も、チャレンジもできたのでしょう。

でも、私は”楽しみながらやること”にはそれほど意識を向けていませんでした。きっと、私にとってプレゼンは楽しみながらできるものだったのでしょう。取り組んだものが自分に、たまたま向いていた。その意味では、とてもラッキーなことです。

あなたにとって、プレゼンの稽古は楽しいもの?

さて、4つのポイントで私が当時勉強してきたスタイルを紹介しました。それを聞いて、

「あー、楽しそう。自分もできそう」と思いましたか?

それとも、
「うわぁ、大変そう。自分にはムリ」と思いましたか?

私は、どちらの感想を持ってもらっても良いと思います。前者の感想でないと素質がないなんて、思いません。だって、今私が書きながら「大変そう…」と思っているのですから(笑)

それでも、やってみたら楽しかった。ぜひ、あなたにも体験してみてほしいなと願います。

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