from 野村尚義

■東京ガスのCMに見る未来を見せるプレゼンテーション

今朝テレビを見ていたら、とあるCMが流れ始めました。

東京ガスのミストサウナ付き浴室暖房乾燥機「ミスティ」のCM。

まずは、実物をごらんください。

http://tv.tokyo-gas.co.jp/watch/779318204002

 

ご覧になりましたでしょうか?

できれば見てほしいのですが、あなたは映像が見れない環境なのかもしれません。

ざっくりと、内容をお伝えしますね。

 

ひとりの女性がボーリング場にいると、竹ノ内豊さん扮する怪しい男が急に声をかけてきます。

「もしキミの家にミスティがあったらって考えたことある?」

さらに男は続けます。

 

「短時間でスッキリしたキミはスカウトされ女優に。

疲れがとれたお父さんは子犬を助け、飼い主とバンドデビュー。

お肌がうるおったお母さんが書いた”美しき50代”がベストセラーに。

主題歌はお父さん。主役はキミだ!

映画は大ヒット。キミたちはセレブだ!

だから、ミスティつけよっか?」

 

 

■未来を描くプレゼンテーション

このCMを見た瞬間、私は「未来を描くプレゼンテーションだ」と反応しました。

未来を描くプレゼンテーションとは、私が「これだけ!プレゼンの本質」で書いた価値の三次元分析。

価値は機能・効用・未来で語る。そして、未来で語る価値はもっとも大きなものになる。

そんな風に書きました。

(本書をお持ちの方、P91を確認してみてください)

 

では、竹ノ内さんのプレゼンは、未来を語ることによって選ばれるのか?!

選ばれるわけがないですね(笑)

 

ジョークめいたCMを真面目に分析する方がどうかしているのですが、あえてやりましょう。

選ばれない理由は、未来に信憑性がないからですね。

 

ミスティを使えば、短時間でスッキリする。ここまでは良い。

でも、なぜ短時間でスッキリすれば、スカウトされて女優になるのか?

お父さんがミスティで疲れがとれるのはわかるけど、なぜ子犬を助けることに?しかも、バンドデビュー?!

お母さんがうるおうまでは良いとして、なぜ本を出す!?それがベストセラーというほど甘くないよ。

(本をベストセラーにすることの難しさは、野村が痛感中です)

 

当然、その先の主題歌・主演・映画ヒット・「キミたちはセレブだ!」もリアリティゼロ。

だから、選ばれない。

図にすると、こうです。

マトリクス(価値×信憑性)

つまり、価値を届けるときに、価値の大きさとともに考えなければならないのは、価値が得られるというリアリティ・信憑性なのです。

 

■信憑性のないプレゼンテーションはどう映るのか?

さて、未来ばかりを大きく描いて、信憑性が低いとどうなるのか?

一言でいうと、うさんくさいです。

そして、売り込み臭くなります。

 

CMの続きは、こうなります。

 

女性「あなた、東京ガスのひと?」

男「通りすがりのガスマニアです(照)」

 

気を付けましょう(笑)

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