from 野村尚義

コンセプトとは何か?

優れたプレゼンテーションは、ただ表現がうまいだけでなく、コンセプトがすでに他と違う。
この手の言葉は、このサイトで何度言ってきたかわからないくらい伝えてきました。

そんなふうに言っているにも関わらず、私自身なかなかコンセプトというものについて、うまく説明できないでいます。あなたはいかがでしょうか?たとえば、中学生くらいの子供に「コンセプトってなに?」と聞かれたら、どのように答えるでしょう?

一応、私が用意している答えは「コンセプトとは切り口だ」です。

なんかわかったような、わからんような。
しかし一方で、「こういうのがコンセプトではない」という否定論は持っています。

コンセプトとは何ではないのか?

さて、コンセプトは何ではないのか?私の意見は以下のとおり。

「コンセプトとは、概念を言葉にしたもの」ではない

よく言いそうな話ですが、なぜ違うのか?

なぜかというと、コンセプトは形がなく、言葉に表せないものだから。
言葉を用いて形を与えようとした瞬間に、別の何かになってしまうものだからだ。

愛は目には見えないが、確かに感じることはできる

「??何いってるの?」
わからないですよね。まずは、こちらをご覧ください(0:47~1:05まで)。


「愛と同じなんです。それは目には見えないが、確かに感じることはできる」
そう、コンセプトも愛と同じ。感じることはできても、目にも見えないし、形を与えることもできないのだ。

プレゼンテーションの愛たとえば、あなたが恋人への愛情を形にあらわそうとして、プレゼントを買ったとしましょう。では、そのプレゼントは、あなたの愛そのもの?違いますよね。

あなたが恋人への手紙を書いたとしましょう。その文面はあなたの愛のすべてを表現できるでしょうか?どれほどの文才があっても、言葉では語りつくせないと思うでしょう?

小田和正は、こう歌いました。
「あなたに会えて、本当によかった。うれしくて、うれしくて、言葉にできない」

コンセプトは言葉にした瞬間に、別ものになる

愛に言葉やモノで形を与えようとした瞬間に、それは陳腐なものになってしまう。いや、陳腐というよりも「愛の一部だけをあらわした、別もの」になってしまう。

コンセプトも同じで、形を与えようとした瞬間に、別ものになってしまう。
たとえば、こんなやりとりはイメージできるのではないでしょうか?

投資家:店長、新しい店を出したいんだって?どんなコンセプトの店にするの?
店長:はい、コンセプトは決まっています。新店舗のコンセプトは”カリフォルニアの海”です!
投資家:ほう…

言葉にした瞬間に、投資家の頭の中には、投資家さんが想像する”カリフォルニアの海”に変換されてしまう。それはもう、店長の頭のなかにある像とはちがってしまっているのです。

言葉にできないものを、言葉にしなければならないジレンマ

ここで矛盾がでてくるのですが、とはいえ何らかの言葉にしなければ、そのコンセプトを人に伝達することはできません。

上の例でいえば、店長は新店舗を作っていくうえで、自分の頭の中のイメージを投資家やデザイナーや店舗設計士や一緒に働く仲間にプレゼンテーションしなければならないわけです。

きっと伝わらない部分がでてくるはず。ヤキモキすることもあるでしょう。
だからこそ、それを伝える力を磨かなければなりません。

さて、そろそろ結論です。結局、コンセプトについて僕たちは何を気を付けるべきなのか?
私の答えはこうです。

・人から聞いたコンセプトは、聴いた時点で別のものになっているから、わかった気になるな
・人に伝えるコンセプトは、絶対に100%は伝わらないが、極力伝わるように全精力を尽くせ

言葉にすると、当たり前だな…。
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