from 野村尚義

プレゼン指導をしていると、面白い場面に出くわすことがあります。

“上手いのだけど、なぜか言葉が記憶に残らない”プレゼンを目にするのです。

 

スルスルスルー
・・・って、流れていってしまう。

イメージでいうならば、脳みそに留まらず、言葉が右の耳から左の耳へ…。

まるで、うどんを噛まずにつるつると飲み込むかんじ。

 

そういうプレゼンを聞いたとき、聴衆の感想は「うまいなー」となります。

いわゆる”立て板に水”という印象。

しかし、これは全然ベストではない。

 

何が良くないか?
感想の中心が、プレゼンの内容ではなく、プレゼンターへの評価になっているところです。

聴衆の感想は、話の内容が聴衆自身にどう意義づけられたかであるべきなのに。

では、どうやってスルスルプレゼンから脱却すればよいか?

 

■スルスルプレゼンから脱却する3つのポイント

スルスルプレゼンを上では、うどんに例えました。そう考えると対策もわかりやすい。

ポイントは3つ。

  ・摩擦をつくる
  ・味を濃くする
  ・変化をつくる

●ひとつめ、摩擦をつくる

つるつるしているのならば、摩擦をつくってザラザラさせればいい。

これは、強調や間によって、話し方で引っ掛かりをつくるということです。

 

強調の回でも述べましたが、モノトーンなプレゼンは印象に残らない。

うまいと思わせるくらいのプレゼンですから、全く強調がないわけではないですが、強弱差が弱いのです。

もっと、ギャップを大きくしていく。

 

●味を濃くする

うどんがツルツルと食べられてしまうのは、薄味だからです。

そこに七味唐辛子のようなスパイスを加えてあげましょう。

プレゼンでいうならば、味の濃いキーワードを織り交ぜることです。

 

いずれ、どこかで記事として扱いますが、単語には“意味の濃い単語”と”意味の薄い単語”があります。

意味の濃い単語とは、単語そのものに思いが強く乗っている単語です。

たとえば、

・勝利 ・決意 ・勇気 ・敗北
・努力 ・目標 ・死闘 ・愛情
・奪取 ・親友 ・変革 ・突破

逆に、特に思いが乗っていない単語は

・今日 ・時計 ・パソコン ・会話
・最近 ・体操 ・出かける ・食事

もちろん、人によって感じ方に際は出るでしょうが、概ね上のほうが「濃い」と感じたことでしょう。

そして、それらの濃い単語は、プレゼンにおけるアクセントになってくれるのです。

ただし、使いすぎには注意です。七味をたっぷり入れ過ぎたうどんにならないように。

 

●変化をつくる

これはつまり、話の内容の変化を、強調するということですね。

話の内容に変化がなければ、当然印象に残りません。

ただ、内容に変化があったとしても、それが伝わっていないから印象に残らない可能性があります。

そこを際立たせようというのが、ここのポイントです。

 

■自分のプレゼンがスルスル流れていることに気付く

こうしたスルスルプレゼンに陥っている方に、私が指導するのは”まず自覚する”ことです。

なにしろ、パッと見た感じでは、うまいのです。本人もそう感じている。

だから、質問します。

 

「あなたのプレゼン、今回の山場はどこですか?」

 

すぐに答えられなかったならば、考えてなかったということです。

全体を均等に話そうとしていた証拠です。

ぜひ、上記の質問、自問自答してみてください。

戦略的プレゼンテーションメールマガジン プレゼン勉強会prazy