from 野村尚義

トーストマスターズでのスピーチ

2001年から数年の間、トーストマスターズというスピーチ勉強会で修業を積んでいたのはこの記事で書いた通りですが、今回そのOB会がありまして久々にスピーチしてきました。

実際にコンテスト形式で優勝者が投票で選ばれるのですが、あえなく優勝を逃しました。プロなのに・・・。

まぁ、打率を高める努力は必要ですが、いちいち三振のたびに落ち込んでもいられないのであまり気にしません。改善だけはします。

で、せっかくおこなったスピーチですので、恥を忍んで映像をさらそうと思います。

以下は原稿です。正直、映像よりシナリオのほうが出来はいいかな。。。

人間ドックでの出来事

2週間ほど前の話です。私は病院の通路で自分の名前が呼ばれるのを待ちながら、絶望的な気分になっていました。

その日、人間ドックで自宅最寄りの病院に行きました。これまでだって健康だし、身体も調子がいい。何の心配もしていませんでした。受付をすませ、採血が終わるまでは順調だったのですが、その後どうも様子がおかしい。

看護師さんが私に「15分ほどお待ちいただけますか?」と告げたあと、私よりもあとで受付が終わった人がどんどん先に通されていく。

「えっ?なんかあった?!」
この時点で、すでにちょっとパニックです。わかります?この不安感。。。

急に訪れる余命いくばくの危機

その不安が確信に変わったのは、診察用の書類を渡されたときでした。当日は胃カメラを飲む予定だったのですが、診断の手順で「胃カメラ」の標記の上に、まるで文字を覆うようにポストイットが貼ってあって「6階へ」と書いてある。

受付が6階。要は、胃カメラは飲まずに受付に帰ってこいと書いてあるわけです。この瞬間、事前案内の一文が脳裏によぎりました。

「HIV,B型肝炎などの感染症の場合、医療従事者の安全確保のため胃カメラ検査はおこないません」

うわー、これかー・・・。

もうそこからは頭の中は完全にそのモードです。通路のイスで「自分はあと何年生きられるのか…。まだあれもやっていない。これもやっていない…」もう正直、人間ドックどころの話じゃないわけです。

ここでタネあかしをすると、胃カメラ検査の前に一旦受付に戻ってくるのは正規のルートで、べつになんともなく健康そのものでした(笑)

「あれやっておけばよかった」ということはないですか?

こういうことって皆さんもありませんか?

ふだんは「まぁ、今度でいいか」と流していることが、もう今度はないのかもしれないと思った瞬間に優先順位が上がってくる。でもその頃には時すでに遅し。

命の危機に「また来世で」を覚悟するというのは大袈裟にしても、身近にもそんなことはたくさん転がっています。

小さな後悔、積み重ねていませんか?

たとえば見たいと思っていた舞台、モタモタしているうちに席が埋まってしまった。たとえば、今度行きたいと気にしていながら行ってなかったあのお店。気づけばすでに閉店していた。

今日、私の会社から最寄りのスタバが閉店してしまいました。かなり世話になったので、菓子折りを持って行ったのですが、なんだか寂しかったです。可愛いあの店員さんと、もっと仲良くなっておけばよかったと(笑)

見過ごしてきた後悔は人生を蝕む

いつでもできたはずなのに、いつでもできたからこそやってこなかった。そんな後悔は私たちの人生を蝕みます。少しずつ、でも確実に。

トーストマスターズに入ったとき24歳だった私も、いつのまにやら38歳になりました。14年なんて、ほんとあっという間でした。

その間に成し遂げてきた大きなことがほんのちょっとと、「まぁ今じゃなくていいや」と見過ごしてきた小さなことが本当にたくさん。

仮にもし、あの一本の電話をきちんとかけていたならば。あの休日に旅行にいく決断をしていたならば。あの日まだ健在だった祖父にお礼の言葉を告げられていたならば、いまの人生はほんの少し後悔が少なかったかもしれません。

なのに実際は、「また今度、また今度、また今度」。

明日死ぬからやれないんじゃない

少し前に「明日死ぬかもよ」という本がはやりました。たしかに私たちには明日生きているという保証はどこにもない。でも実際は明日死ぬからやりたいことができないのではなく、明日も明後日もあるからこそ、大事なことが先送りされていくのです。

そしていつか「また今度」という言葉が、成し遂げられないまま「また来世で」に変わってしまう。

時間が有限であることのリアリティ

でも幸か不幸か、私は38歳になり、24のときよりもほんの少しだけ時間が有限であることをリアルに感じられるようになりました。あのときよりほんの少し体力が衰え、ほんの少し目じりにシワが増え、ほんの少しコレステロール値が高くなり…。

私がトーストマスターズに入会した当時、私はほぼ最年少だった記憶があります。ということは、みなさんだって…ねぇ(笑)

人間ドックで絶望中、私が来世に持ち越せないと思ったのは「もっと友達を大切にしていれば。もっと仲間たちと遊んでいれば」ということでした。あなたが私の立場ならばどうですか?ぜひそれを「また今度」せずにやってみてください。そうでなければ、いつの間にか「また来世で…」になってしまうかもしれませんよ?

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