from 野村尚義

セミナーは三部構成のシナリオでつくる

セミコンの審査員やコメンテーターをやっていると、本当にたくさんの10分セミナーを見ることになります。そして、伝わるセミナーには王道のシナリオ展開というのが存在します。それが、三部構成シナリオ

  • イントロ
  • ボディ
  • エンディング

の三部なのですが、それぞれには役割があります。以下のスライドで簡単に説明しましょう。

10分間セミナーの構成

イントロ:短い自己紹介で信頼を得る(最大3分)

イントロ(Introduction)では、まだ本題は語りません。というのは、この時点ではまだ聴衆が聴く耳を持っていないから。スタートは、聴衆があなたを見定めようとしている状態。ここでまず、あなたに”そのテーマについて語る資格がある”ことを認めてもらわなければなりません。

つまり、必要なことは自己紹介であり、自己PR。聴衆に以下のように感じてもらえるような、シンプル自己PRを作り込みましょう。

  • この人は、その道の専門家だ
  • この人は、それを語ることに情熱を持っている
  • この人の、その道の話は為になって、かつ面白そうだ

ボディ:セミナーのコアメッセージと、コアノウハウを語る(約6~7分)

魅せるセミナー 6つの共通ポイント」でコア・メッセージ&コア・ノウハウを研ぎ澄ませることが大切だと述べましたが、まさにそれを語るのがこのボディのパート。聴衆は学ぶためにセミナーに来ているわけですから、このボディがもっとも重要です。

ひとつのコア・メッセージを、2~3のコア・ノウハウに分けて、それぞれで詳細を語る。聴衆にとって「これならできそうだ」と思えるレベルの具体性があるとなお良し。

ボディのノウハウ部分に厚みを増していくことが、結局聴衆の期待に応えることになります。ここで一歩間違えると、イントロやエンディングの肉付けに凝ってしまう。でも、それだと聴衆へのノウハウ伝授につながりません。

加えて言うと、「セミナーのコンセプト ≒ コア・メッセージ&コア・ノウハウ」。このコンセプトが切れ味鋭いものになるまで、研ぎ澄ましていかなければならない(このあたりは「10分セミナーを20秒の予告編にまとめる」「戦略とは、戦いを略すること」を読んでほしい)。

エンディング:まとめ&印象に残るメッセージで締める(最大1分)

エンディングの役割は、学びを印象に残すことであり、学びを実行に移すための意欲を高めてもらうことだ。泣かせることが目的でもないし、キレイに締めることが目的でもない。

だから、ノウハウ部分をまとめて繰り返す。繰り返すことで、聴衆の記憶定着につながる。あとは、感情的に刺激する。感情を揺さぶるメッセージは、そうでないメッセージに比べて記憶されやすいからだ。

繰り返すが、目的は学び。そのための手段として、感情を揺さぶるのだ。泣かせること・感動させること自体を目的にしてはいけない。
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