スピーチ「ステイ・ハングリー・ステイ・フーリッシュ」(動画あり)

スティーブ・ジョブズが2005年におこなった伝説のスピーチ。その最後に語られるStay hungry,Stay foolishに込められた意味と、そこから得た人生の教訓について

from 野村尚義

昨日、トーストマスターズというスピーチサークルでスピーチをしてきました。このサークルは、私が13年前にスピーチスキルをイチから磨かせてもらった恩ある場所。とある縁がきっかけで、久々に登場させてもらいました。

「成長を見せることこそが恩返しだ」とばかりに、全力でやってきました。

そしてその結果は…見事、優勝。ベストスピーカー賞をいただいてきました^^

トーストマスターズ ベストスピーカー賞

いや、本気で勝ちたかったので、ほんとにうれしいです。せっかく練りこんだスピーチなので、このサイトをご覧のあなたにもおすそ分けします。映像と原稿でお楽しみください。

テーマは「Stay hungry, Stay foolish」。映像の冒頭30秒は英語ですが、その後はしっかりと日本語です。

Just Three Stories.

Thank you. I’m honored to be with you today at your commencement from one of the finest university in the world.Truth be told, I never graduated from college, and this is closest I’ve ever gotten to a college graduation.

Today, I want to tell you three stories, from my life. That’s it. No big deal. Just three stories.

これはスティーブ・ジョブズが語った伝説のスピーチの一節です。2005年6月、スタンフォード大学卒業式辞で述べられた15分間。このスピーチは、卒業生たちの心を動かしただけではなく、映像を通じて全世界の人に届けられました。

ちなみに、このスピーチを聞いたことがある方は?さすがトーストマスターズのメンバーのみなさんですね。そして手を上げなかったみなさん、別に嘘をついて手を上げてもいいのに、正直を貫いた勇気素晴らしいと思います^^

私はスピーチ・プレゼンテーションの指導を生業としています。その立場として、彼の語った言葉に興味を持ちました。なぜ彼はほんの15分で人の心を掴みきれるのか?私の関心の的はその一点でした。

手放すことを恐れるな

しかし、何度もスピーチを聞いているうちに、表面的なスピーチ力ばかりに目を向けていた自分を恥じました。ここで語られる言葉が自分にとって、人生を一変してしまうほどのメッセージだと気付いたからです。

このスピーチでもっとも有名なのは最後に語られる言葉。Stay hungry, Stay foolish。この意味、わかりますか?

直訳すれば「餓えろ・バカでいろ」ですが、さすがにそうでないことはわかります(笑)最初、私はジョブズが言いそうなこんな解釈をしました。「渇望しろ。聞き分けの良い大人になるな」あぁ、言いそうだなと。でも今は少し違う見方をしています。

ジョブズが語った3つのストーリーは、大まかに言うとこうです。一つ目、育ての親が生活費をはたいて入れてくれた大学を自ら辞めた話。二つ目、自ら立ち上げた会社アップルをクビになった話。三つ目、ガン宣告で命の危機に面したとき、つまらないしがらみに囚われていた自分に気付く話。

この行き着く先にある結論はこうではないでしょうか?Stay hungry, Stay foolishの指す意味とは「手放すことを恐れるな」

手にしたものが、いつしか自分を縛る鎖に

私たちは、日々、多くを手に入れていきます。それはスキルだったりお金だったり、人間関係だったり。それらは、これから先ずっと大切にしようと思って手に入れたもののはずなのに、いつの間にか私たちを縛る鎖に変わってしまうときがあります。

これまでこの仕事一筋にしてきた自分には、もうこの道しかない。
お金のない生活には戻れないから、リスクは冒せない。
あの人たちに変に思われたくないから、バカなマネはできない。

でも、それって悲しいことだと思いませんか?まるで、過去に縛られて未来に進めていないような。

ジョブズの言葉を繰り返します。Stay hungry, Stay foolish。何もなくなってひもじい思いをしても、いいじゃないか。誰にバカだと思われたっていいじゃないか。その代わりに、もっとも大切な一つを守ることができるのだから。

この結論に辿り着いたとき、私は思ったのです。自分はいつの間にこんな重い鎖の鎧を着てしまったのだろうと。そしてこうも思いました。ジョブズほど多くを持っている人が、手放すことを恐れていないのに、私程度のものしか持っていない人間が、何を怖がっているのかと。

手にしたものを理由にあきらめない

そして決めました。いつかもし、本当にやりたいことに出会ったとき、手にしたものを理由にあきらめることはしないと。故郷をはなれたとき、会社を立ち上げたとき、過去に自分が覚悟を決めた一歩はいつだって新しい世界を作ってくれた。

そのときだって恐怖はあったけれど、そして今後にも恐怖は付きまとうだろうけれど、恐怖には負けないと。そうでないと、自分が前に進めなかった理由を、手放せないもののせいにしてしまうから。

私は口にしたくないのです。自分の過去の選択に、身に着けてきた能力に、仲間に、家族に。「お前を大事にしたせいで、俺は冒険できなくなったんだ」

あなたはどうでしょうか?いつの間にか背負ってしまっているものはありますか?そのせいで、下や後ろばかりが見えてはいませんか?前を見据えたとき、そこには何が見えるでしょうか?

ジョブズは言いました。「大切なことの前では、すべては二の次だ」Stay hungry, Stay foolish.この言葉が、あなたの心にも灯りますように。

 

[参考文献]
小川晋平「One thing」
リーガルハイスペシャル(91:59)
戦略的プレゼンテーションメールマガジン プレゼン勉強会prazy

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