ベネフィット3分類でプレゼンのコンセプトを再解釈&価値向上させる

from 野村尚義 優れたプレゼンテーションは、ただ表現がうまいだけでなく、コンセプトがすでに他と違う。 この・・・

from 野村尚義

優れたプレゼンテーションは、ただ表現がうまいだけでなく、コンセプトがすでに他と違う。
このことは他の記事でも触れてきたし、そもそもこのサイトの存在理由がそこにあります。

では、どのようにプレゼンのコンセプトを磨けばよいのか? そのために使えるビジネスフレームワークをひとつご紹介していきましょう。

デビッド・アーカーのベネフィット3分類

dave_aaker_colorブランドの神様と称されるデビッド・アーカーをご存知でしょうか?彼はベネフィットには3つの種類があると述べました。

・機能的ベネフィット
・情緒的ベネフィット
・自己表現ベネフィット

かるくまとめると、それぞれこういう意味。

アーカーのベネフィット分類 そして、アーカーはこの3つに対して「機能的なベネフィットではなく、情緒的ベネフィット・自己表現ベネフィットに目を向けよ」と述べています。

どういうことか?
私たちは目に見える機能的ベネフィットに視点が向きがちだということ。商品のアピールのためのプレゼンをするときに「便利です」とか「安いです」とか「早いです」とか、機能面に目を向けてしまいがち。しかし、それだけでは受け手の心を打たないし、競合に圧倒的な差をつけるのも難しいでしょう(なにしろ、競合も機能的なレベルアップは日々注力しているわけですから)。

だから、機能的ベネフィットにのみ意識を向けたプレゼンテーションは、差別化された戦略にたどり着きにくいのです。

もう少し詳しくアーカーの言葉を引用しましょう。

機能的なベネフィットを超えたものにする
現在、製品の特長や機能的なベネフィットに焦点を当てようとする傾向がある。これらが顧客が真に求めているものだと考えられているからであり、市場調査も、多くの場合、ここに焦点が当てられている。しかし、実際には、顧客は論理的な存在ではない。機能的なベネフィットが持続的な差別化を導いたり、顧客との深い結びつきをもたらすことは稀なのだ。

機能的なベネフィットではなく、情緒的なベネフィットや自己表現ベネフィットに目を向けてみよう。顧客はVolvoに乗って安心感を得るし、BMWに乗れば気持ちが高揚する。コカ・コーラが手元にあれば元気が出るし、Hallmarkのカードが届けば温かな気持ちになる。Zaraで服を買えばクールな気分になるし、Lexusを運転すれば成功者の仲間入りだ。Appleを使っている自分はクリエイティブで、Quaker Oatsのホットシリアルを作る私は優しい母親。Kmartで買い物をしたら質素で見栄を張らない人物だし、REIのキャンプ用品を持っていたら冒険家で活動的な人物になれる。

ブランド・パーソナリティについても考えてみるべきだ。そのブランドのパーソナリティは、自信に満ちている、能力がある、楽しい、温もりがある、エネルギッシュ、のどれかであるべきなのか、あるいはこれらのうちいくつかの組み合わせなのか? 時として、ブランドとはパーソナリティを通じて最もよく表現されるものである。
Brand Creation Center | Dentsu Online

ちなみに、こちらのサイトでは有名企業のウェブサイトを実例として語ってくれていてわかりやすいです。
Webサイトでの正しいブランディングと3つのベネフィット

ベネフィット分類で学べるのは、プレゼンにおける意味の再解釈

さて、アーカーの3分類を知ることで、どのようにプレゼンのコンセプトを磨くのか?
ズバリ、アーカーの言葉にある通り、機能的ベネフィットに捉われないプレゼンの視点が持てます。

表現を変えれば、プレゼンのコンセプトが、受け手にとっての最大価値になるように再解釈ができるということです。

先ほどお話ししたとおりで、機能面だけを語ったとて、それは受け手にとっての価値の一部しか表現できないわけです。高級車を購入する人は、ただ速い車・揺れない車が欲しいのではなく、そのエンジン音を聞いたときの興奮であったり、その車を所有すること自体のステータスだったりが価値なのですから。

もし、カーディーラーの販売員が、機能面だけしかアピールできなかったならば、販売成績は決して高くならないことは、あなたも想像つくのでは?

一言でまとめるならば、「プレゼンでは、機能だけを売るな。感情と経験とセルフイメージを売れ」ということ。それが受け手の価値を最大化し、ライバルとの差別化要因にもなるということです。

小泉純一郎元総理は、郵政民営化を官尊民卑の破壊だと捉えた

アーカーのベネフィット分類をもとに、意味の再解釈を見事に成し遂げた例は、政治の世界にも存在します。

小泉元総理が2005.8.8におこなった郵政解散演説の一部を抜粋しましょう。

私はこの郵政民営化よりももっと大事なことがあると言う人がたくさんいるのも知っています。しかし、この郵政事業を民営化できないでどんな大改革ができるんですか。
役人でなければできない、公務員でなければ公共的な大事なサービスは維持できない、それこそまさに官尊民卑の思想です。私は民間人に失礼だと思います。

郵政民営化について、我々民間人にとっての価値を機能的ベネフィットでとらえると、「役人がやろうが、民間がやろうが、変わりない。ただ葉書や手紙がしっかり届いてくれればよいのだから」といったイメージなのでは?非常に、ベネフィットを感じにくい。

それを、自己表現ベネフィットとして「郵政を民営化できないというのは、官尊民卑の表れだ。郵政民営化こそが、民間の力を示すことなのだ」と言われたら、聴こえ方が違ってきます。自分たちは価値ある存在であるということの証明こそが郵政民営化なのだとしたら、Noとは言いにくいでしょう。

機能的なベネフィットを超えたものにする

さてもう一度、アーカーのセリフに戻りましょう。
「機能的なベネフィットを越えたものにする」

多くのプレゼンターは機能的なベネフィットを語ることを、あの手この手で努力する。その努力の一端を、そもそも別の切り口からベネフィットを示すために注いでみましょう。
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