は、六本木ビブリオバトルという本の紹介プレゼンをする大会に、コメンテーター的な立ち位置でお呼ばれしてきました。
https://www.facebook.com/events/666888126683966/
13名のプレゼンターの書籍紹介スピーチを聞くのですが、みな個性豊かで技術も高い。毎回、呼んでいただく度に思うのですが「あきらかに、日本のトップ10%だな」と。
全員のスピーチを聞いたあと、5分ほど時間をいただいて講評をさせていただきました。この内容が、本のスピーチに限らず様々なプレゼンで活かせそうですので、シェアしますね。では、本題にまいりましょう。
~目次~
ビブリオバトルで受け手の当事者意識を刺激する
“対岸の火事”という言葉があります。「話し手がなにかしゃべてるね。自分には関係ないかな」ビブリオが聴衆にこう思われては、選ばれることはありません。
いかにして聴衆に、本を読むことの価値を”自分ごと”として感じてもらうか。言葉を変えれば、いかに当事者意識を刺激するかです。
では、当事者意識を刺激するとはどういうことか?一概に当事者意識といっても、そのアプローチは様々あります。ここでは、4つに分けて話しましょう。
1.「本を読む」ことを疑似体験してもらう
当事者=本の読み手だとしたら、本を読むことを疑似体験してもらうことは、まさに当事者意識。そして、そのためにやることもカンタンです。本のあらすじや、本の中の一文を紹介すればいいのです。
「あぁ、こんなことが書いてあるんだ」と、まるで自分が読み手になったように感じながら、あなたの話を聞いてくれるでしょう。
2.話し手であるあなたの「本から受ける感情の揺らぎ・気付き・学び」を疑似体験してもらう
しかし、あらすじを話しただけでは、その内容に対してあなたと同じ感動を感じてくれるとは限りません。あなたにはあなたの、相手には相手の感じ方があるから。
だからこそ、単に情報としてあらすじ・一文を紹介するだけでなく、そこから受け取ったものを語る。しかも、受け手が共感できるかたちで。
たとえば、書籍のなかであなたがギクリと反省した話があったとしましょう。その話は、受け手も同様にギクリと反省したくなるような形で話すことがよいプレゼンです。そうでないと、あなたの感じ方に共感できず、”感性が違うあなた”からのオススメを読みたいと思えない。
逆にいえば、そこのハードルをクリアすることができれば、しめたもの。受け手に情報だけでなく、学び・気付きを疑似体験を通じて受け取ってもらえます。
3.本によって回避される”痛み”への当事者意識を刺激する
1と2は学びの話。
でも、いわゆるビジネス書を読むときに、私たちは単に学びたいから本を読むわけではありません。学びの先にある”手にしたい結果”を得るために、私たちは本を読むのです。
そして、手にしたい結果は、2つの側面で表現できます。その1つめは“痛み”。
たとえば、
“嫌な人とのコミュニケーションで苦しんでいる”
“将来のお金に関する不安をなくしたい”
“自分に自信が持てなくてつらい”
“仕事にやりがいが感じられない”
などなど、私たちの周りは痛みがたくさんあります。
もっと小さな痛みだってあります。
“午前中に立てた計画が、午後にはグチャグチャになって思い通りにならない”
“Facebookに時間がとられすぎる”
“肩こりがひどい”
このような痛みがなくなるとしたら、私たちはその本に強い興味が持てるでしょう。ただし、ここで大切なポイントがあります。これらの痛み、私たちは常に強く認識しながら生活を送ってはいないということ。
その場面に直面したときにだけ、その痛みを思い出し、それ以外の瞬間には忘れている。神さまは私たちを、そのようにつくったようです。というのは、私たちの周りは痛みに囲まれているから、それをずっと感じ続けるのは酷だから。多くの瞬間に痛みを忘れるというのは、神さまの温情なのでしょう。
ただ、それには問題もあって、痛みを忘れている瞬間には、その痛みを解決しようとは思っていない。忘れているわけですから。そこで、元来持ち合わせている痛みに、当事者意識を思い出してもらうことが必要なのです。
「こういう痛みって、ありますよね」ということを、手を変え品を変え、示して見せるわけです。
もちろん、ただ痛みをあぶりたてるわけではありません。その解決策が目の前にあるからこそ、そこへの欲求を感じてもらうがためです。※このあたりは、「これだけ!プレゼンの本質」のP231に詳しく書いてあります。
4.本で実現できる”ゴール”への当事者意識を高める
本からの学びを通じて手にしたい結果、もうひとつは“ゴール”。たとえば、
“モテたい”
“お金持ちになりたい”
“仕事でバリバリ結果を出していきたい”
“心の平安を手に入れたい”
このような思いは、多くの方が持っていることでしょう。
もっと小さな願いだってあります。
“意中の彼女を食事に誘いたい”
“もうすこし、料理をうまくつくりたい”
“体重を5kg減らしたい”
などなど。
これも痛みと同じく、いつもイメージして、渇望して生活しているわけではありません。現状で足りないものがあっても、なんだかんだ言って生活できているわけですから。でも、それを追わない先には、大きな変化はありません。
だから、手にしたいゴールへの渇望感を思い出してもらうのです。それが、ゴールへの当事者意識ということ。
4つの当事者意識の多くを押さえたプレゼンが人の心を掴む
昨日のビブリオバトルでは、カフェとラーメンのフードコンサルタント瀧澤陽介さんが優勝しました。
http://cafe-ramen.com/blog/
彼のスピーチを分析すると、この4要因を多くを押さえていました。多面的に当事者意識を持たせることが、選ばれるひとつの秘訣だということです。