from 野村尚義

経営学の3C分析でプレゼンのコンセプトを考える

私がプレゼンテーションを練るとき、必ず考えているのは3Cの切り口です。

3Cはご存知でしょうか?
経営学の初歩で学ぶことなのですが、3つの頭文字がCなので3C。

1.顧客(Customer)
2.自社(Company)
3.競合(Competitor)

この3つの観点すべてからもれなく考えることで、事業コンセプトや商品コンセプトが練られるというものです。私がこれについて初めて聴いたのが22歳のとき。まだビジネスの右も左もわからない学生でしたが、「これならば、うまく物事を整理できる!」と深く納得したのを覚えています。

それから数年。その知識を「事業や商品のコンセプトが練られるのならば、プレゼンのコンセプトも当然、練ることができるだろう」と活用しはじめたのですが、やってみて、すぐにうまくいきました。

たとえば、スピーチなのでこの3Cに当てはめて考えると、良いアイデアが出やすいなど。まぁ、汎用的なフレームワークですから、使えて当然です。

3Cをビジネスプレゼンテーションに反映する3つの質問

さて、では3Cをどう活かせば、プレゼンに使えるのでしょうか?

単純に「顧客は誰か?」「競合はどこか?」を考るだけではありません。そんなことは書き出さなくてもわかっていることですから、単なる穴埋めにしかなりません。つまり、それでは思考は深まらない。

3つのCをコンセプトを練るのに使うには、言葉の変換が必要になってきます。私の頭のなかにある質問を書き出すと、

1.顧客(市場性):受け手が望むことは何か?
受け手が知りたいことは何か。受け手自身が気づいていないけど欲しているものは?

2.自社(優位性):自分たちの強みは何か?提供できるものは何か?
自分の良いところをプレゼンで活かせるとしたら、それは何か?

3.競合(差別性):競合には出せない、価値・メッセージは何か?
自分のプレゼンは、月並み・ありきたりのものになっていないか?

といったところ。
意識的にも、無意識にも、プレゼンの際はこれらをグルグルと考え続けています。

3C(Company,Customer,Competitor)

3Cで考える際にありがちなのは競合の無視

この3Cで考えられないと、視点にモレが起こってしまいます。

特にありがちなのは、受け手(顧客)の望むものにだけフォーカスしてしまい、競合を意識していない、ありきたりなプレゼンになってしまうこと。長年、多くの企業さんでプレゼンテーション研修のお手伝いをしていると典型的によく見るパターンです。

たとえば、IT企業さんでありそうなプレゼンを例にとると。

古くなったサーバーのリプレースをしましょう。そして、仮想化の技術により、サーバーのリソースを最大活用すれば、コスト削減にもつながります。

この提案は、もしかしたらCompany(自社でできること)の視点と、Customer(顧客の望むこと)の視点はカバーするかもしれません(それでも、もっと踏み込めば磨ける余地はありそうですが)。

でも、その提案って、競合他社も同じレベルのものは持ってきそうじゃないですか?

「他社ではなく御社に頼むからこそ、うちにとってプラスで得られるメリットって何ですか?」という、受け手のなかに眠る質問に明確な答えを出せていないわけです。

もしかしたら、考えても答えが出てこないこともあるかもしれません。でも最低限、考えないと答えはでないですから。まずは3つの視点で考えきることを大切にしてみてください。

3Cはどれくらい常識的な知識なのか?

少しでも経営学をかじったことのあるならば、あなたも「3Cくらい常識じゃないですか」と思うかもしれません。なのに、あえて私がここで3Cについて語ろうと思ったのは、”3Cを知っている人が思っているほど、3Cは世間で常識的な知識ではない”という事実です。

研修のなかで3Cについて知っている人に手を挙げてもらうと、大体10~20%くらいしか手があがりません。プレゼンやビジネスで3Cを意識して考えている人となると、さらにその率はさがってしまいます。

知っていると知らないの差は大きいですし、知っていると使っているの差も大きいですね。
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